フィンテックとは

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フィンテックはファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)の2つを併せた造語です。日本語だと金融ITとか、金融テクノロジーと略される事も度々あります。

最近では金融IT分野のベンチャー企業(新興企業)をフィンテックやフィンテック企業と呼ぶ事もあります。このようにフィンテックは金融テクノロジーそのものを指す場合もあれば、その分野の企業のことを指す場合もあり、定義はあいまいと言えます。

ちなみにですが、フィンテックは英語でもきちんと伝わる単語です。日本で作られた和製英語ではないので、海外の方と英語で会話をする時にも使えるので安心して下さい。

近年ではクラウドやスマートフォン(スマホ)といった最新のITを活用して、金融機関が従来提供してこなかったようなサービスをベンチャー企業が提供する事が多くなってきました。特に、米国を中心とするベンチャーキャピタル市場において、フィンテック関連のスタートアップ企業への投資が注目を集めています。

代表的なフィンテックの例

スマートフォンでカード決済

フィンテックとして一番有名なのがモバイル決済です。iPhoneやAndroid携帯などに小さな器具を取り付けるだけでクレジットカード決済が出来る、Squareや楽天スマートペイ、PayPalの三社が有名です。

従来はクレジットカード決済端末という大きな機械を購入し、それを電話回線などに繋ぐ事でクレジットカード決済は行われていましたが、フィンテックを活用したモバイル決済では携帯電波で決済が出来るので、最小限の器具のみでクレジットカード決済が出来るようになりました。

従来:専用のカード決済機を購入して店舗に設置&決済

今後:iPhoneなどのスマホに器具を取り付けて決済可能

まさにモバイル決済は金融とITが融合したフィンテックの考え方そのものだと言えます。

自動で家計簿が作れる

手書きで家計簿をつけなくても、自動で家計簿を作る事が出来るクラウド家計簿も、フィンテックとして有名なサービスの一つです。

従来、家計簿を付ける為には銀行通帳やレシートを見ながら1つ1つ、手書きでつけていく必要がありましたが、現在ではクレジットカードのネット明細や電子マネーの利用履歴などをひとまとめにし、自動で家計簿を付けてくれる仕組みが出てきました。

従来:自分で家計簿を付ける

今後:自動で家計簿が出来上がる

クラウド家計簿分野の有名企業だとマネーフォワードやfreeeなどがあり、利用者も年々大きく伸びております。私も利用していますが、これらのサービスを使うと銀行口座残高、月収、食費や交際費などの支出などが一目瞭然でわかるようになり、本当に便利です。

会社の経費管理も簡単に出来る

個人事業主の方や中小企業経営者の方は、会社の経費についても自動的に記帳する事が出来るようになるので、経理コストを大幅に削減する事も可能です。

取引先の数や支出が少ない企業であれば、わざわざ経理担当を雇わなくても社長が月数時間程度の作業で完了させる事も可能と言えます。

暗号通貨

一時期メディアを賑わしていたビットコインが代表的な例と言えます。「ブロックチェーン」と呼ばれる技術を中核としております。ブロックチェーンは送金や支払の履歴を管理すると共に、銀行やクレジットカード会社のような中央集権的なデータベース基盤を必要とせず、分散して管理される事が特徴と言えます。

クラウドファンディング

ネットを通じて資金提供者を募るサービス。投資、融資、寄付、購買等に適用されており、米国を中心に急拡大しております。

フィンテックの本命はブロックチェーン

ブロックチェーンとは分散型のコンピューターネットワークであり、中央集権を置かずにして信憑性のある合意に到達する方法を可能にする技術です。

ブロックチェーン誕生以前は、全てのトランザクション(取引)はVISAやPayPalや銀行などの第三者機関を通して行わなければなりませんでした。

従来のモデルだと第三者機関が中央集権として絶対的な力を持っていたわけです。ですから、これらの第三者機関が「このトランザクションは有効であり、正しい」と言えばそれが正解になってしまっていたのです。

しかし、ブロックチェーンを使えば第三者機関を通さずにしてトランザクションのコンセンサス(合意)を得る事が可能となりました。つまり、買い手と売り手が直接取引できてしまうのです。

これは既存金融機関にとっては脅威です。何故ならブロックチェーンが普及すると現在第三者機関に頼っている全ての業界の仲介役を取り除くことができ、第三者機関に頼らずにして回る世界を構築する事が出来るからです。

ブロックチェーン・テクノロジーの誕生はインターネットの誕生に匹敵するくらい革新的な技術だと言えるでしょう。

今後のフィンテック市場の拡大は確実

スマホやクラウドに代表されるような増大するコンピュ-タやネットワークの力が、金融や決済の世界を変革していく事は必然だと私は考えております。

ビットコインの登場は金融界に衝撃を与えました。当初はその位置づけも曖昧でしたが、現在では、各国の当局がその取扱いの検討を具体化しつつあり、マイクロソフトやデルなどの世界的な大企業も支払手段としてのビットコインを受け入れています。

お金を取り扱う金融の世界では、「貸す」「借りる」「支払う」「受け取る」「殖やす」などの分野があり、これらのそれぞれについてフィンテックは今後ますます存在感を増していくものと考えられます。

銀行をはじめとする伝統的な金融機関でも、フィンテックのスタートアップ企業を発掘しようとする動きを強めています。これはフィンテックが伝統的金融機関にとっての大きなビジネスチャンスでもあり、また重大な脅威と捉えられている証左と言うことが出来るでしょう。

日本でのフィンテックの現状

日本は残念ながら米国等に比べて、フィンテックに関する展開が遅れていると言わざるをえない状況となっております。日本におけるフィンテック発展のネックになってきたのは、金融商品取引法や銀行業法などによる決済関連業務の規制です。しかし、ここに来てこれらにも規制緩和の動きが出てきております。

金融庁がフィンテックの法整備

2015年5月に金融商品取引法が改正され、企業は決済など金融事業に関わるIT企業などに投資・出資、あるいは傘下に持つ事が出来るようになりました。

これによって金融機関によるフィンテック参入が可能になり、優れた事業ビジョンと技術を持つベンチャーにとっても、資金調達・事業展開が容易になりつつあります。また、同じ5月に金融庁が「金融グループをめぐる制度のあり方に関するワーキング」で銀行業法などの面からも規制緩和への議論を開始した事も大きいと言えるでしょう。

こうした規制緩和の動きだけでなく、金融関連の大手企業からもフィンテック促進の動きが生まれてきております。

既存の金融機関もフィンテックへ向けて動き出す

2015年2月に開催された「楽天金融カンファレンス」は、業界の枠を超えて新たな金融サービスを生み出し、育てていこうという試みとして大きな注目を集めました。

さらに6月に三菱東京UFJ銀行が開催した「Fintech challenge」は、大手金融機関がコンテストで新規金融ビジネスを発掘し、事業化しようという試みになります。

これまで規制に守られて自由競争の仕組みが効果的に働いてこなかった日本の金融業界にも、群雄割拠・下克上の時代は来るのでしょうか?またそれは経済全体にどのような影響を与えるのでしょうか?今後の展開には注目です。

フィンテック協会が発足

2015年10月1日、遂に日本にもフィンテックの業界団体が誕生しました。正式な名称は、一般社団法人FinTech協会と言います。

日本でのフィンテック産業を牽引するフィンテック関連銘柄企業が21社集まってフィンテック協会が立ち上げられたようです。

参加企業にはOrbやコインチェック、クラーケン等の注目企業が名を連ねており、この協会に新規で加入した事を材料に急騰する事もある為、要注目と言えるでしょう。

ベンチャー企業同士が交流する事で、フィンテックに関する法整備への発言力や、フィンテックサービスの向上など、フィンテック協会はフィンテック産業の発展とフィンテック関連銘柄の価値を高める事に大きく貢献していくでしょう。

既に触れてきたように、個人の生活にせよ、ビジネスにせよ、世の中には既存の金融サービスに対する不満や、利便性や低コスト、セキュリティなど様々な付加 価値サービスを求めるニーズが存在します。フィンテックとはこうした市場ニーズによって生まれ、成長してきたし、これからもニーズが存在するかぎり発展し ていく事は間違いないと思います。既存金融機関もこの流れの中でこれらのニーズに応えるサービスを提供していこうとしており、今後への展開に期待したいで す。

フィンテック関連の本命銘柄

さくらインターネット【3778】

同社が運営する「さくらのクラウド」上で、テックビューロの「mijinクラウドチェーン」の実証実験環境を16年1月から無料提供すると発表し、関連銘柄入り。材料が出た際には真っ先に買いが向かう事からも同社がフィンテック関連の本命銘柄と言えるでしょう。

フィンテック関連銘柄

インフォテリア【3853】

日本国内で唯一プライベート・ブロックチェーン実装技術を保有するテックビューロとの事業提携を発表。両社のソフトウエアを組み合わせる為の専用接続アダプタを開発し、16年1月から実証実験を開始。同年4月に発売する予定です。これにより金融システムの構築運用コストを現在の10分の1にすることが可能との事です。同社も材料が出た際に買いが向かいやすく、本命に次ぐ銘柄と言え関連銘柄の中でも注目しておくべき銘柄と言えるでしょう。

ISID 【4812】

親会社の電通【4324】向けの社内システム構築が安定収益源となっている同社は、製造業向けの設計開発支援や金融向けに強みを持っております。2012年には「金融イノベーションビジネスカンファレンス」を国内で初めて開催するなど、フィンテック分野に早くから着目。2015年9月には住宅ローン借り換えアプリを提供しているMFSに出資した事からも要注目の銘柄です。

メタップス【6172】

同社の主力は、アプリマーケティングに必要なデータ分析、プロモーション、収益化を一つにまとめたソフトウェア開発キットである「Metaps」です。また同社が手掛けるオンライン決済サービス「SPIKE」は、サービス開始から約1年3ヵ月で登録アカウント数が10万件を突破するなど、その成長性が注目されております。2015年には新規上場も果たしており、これからの飛躍に期待のフィンテック銘柄です。

GMOペイメントゲートウェイ【3769】

GMOインターネット【9449】の子会社である同社は、6万社弱の消費者向け電子商取引業者に、決済処理サービスの「PGマルチペイメントサービス」を提供しております。ECサイト運営やインターネット決済において、クレジットカード決済や後払い、コンビニ決済など様々な決済手段のニーズに対応、最適な決済方法を提供するという総合決済サービスです。機関投資家等がこぞって買い入れている銘柄としても有名です。

フライトHD【3753】

ITコンサルティングなどを手掛ける同社は、モバイル型電子決済端末や決済アプリサービスなどを展開。また2015年10月には、子会社のフライトシステムコンサルティングが米国子会社を通じ、米国北米市場向けにタブレット連動型クレジットカードの次世代型マルチ決済装置「Incredist Premium」を、新製品として発表しております。

ロックオン【3690】

EC用の受注エンジンの実証実験をテックビューロと提携し、開始しました。

セレス【3696】

同社が展開する「モッピー」は、累計500万人が利用している国内最大級のポイントサイトで、スマートフォンやPCなどに対応しております。モバイルコンテンツへの登録や、無料ゲーム、ネットショッピング、メールなどで配信される広告の閲覧でポイントを貯める事が出来、貯めたポイントは「1ポイント=1円」で現金や各種電子マネー、ゲームなどのデジタルコンテンツに交換する事が出来るサービスです。フィンテック関連として、度々物色買いが入る銘柄です。

オウケイウェイヴ【3808】

テックビューロと事業提携し、Q&Aシステムにブロックチェーン技術を応用する事を発表しました。

ソースネクスト【4344】

マネーフォワードに出資している同社は、PC用の低価格パッケージソフトを中心に急成長中です。ウイルス対策はシェア上位となっております。2010年からはスマートフォン用アプリの提供も開始しており、今後に期待です。

クレディセゾン【8253】

同社はセゾンカードの発行で有名な企業ですが、フィンテック銘柄への投資に積極的な企業としても知られております。配下にベンチャーキャピタルを新設したり、複数枚のクレジットカードを1枚にまとめられる米国のcoinやモバイル決済のCoiney(コイニー)に投資しており、既にに実績もあります。仮にコイニー等が上場する場合には、持ち株比率によっては注目が集まるでしょう。また、マネーフォワードにも出資をしており、フィンテック関連としては注目度の高い銘柄と言えます。

アイリッジ【3917】

集客や販促でネットと実店舗をつなぐ「O2O(オンラインtoオフライン)」支援を手掛けている会社です。同社もテックビューロとフィンテック関連のスマホ用のアプリの共同開発を発表しており、関連銘柄としても物色買いが入りやすい銘柄です。